外壁は、割れたタイルや陶片を貼る「トレンカディス」で装飾され、ホタテや波のように光って見えます。仕上げにはガウディの協力者ジュジョールが関わりました。バルコニーは仮面のような形で、柱が骨に見えることから「骨の家」と呼ばれます。
中央の面は、モネの「睡蓮」を連想させる水面のようだとも書かれます。色ガラスの円盤と、色とりどりの陶器の円盤が漆喰に埋め込まれ、光の当たり方で表情が変わります。円盤はガウディとジュジョールがマヨルカ島のパルマ大聖堂の修復に携わっていたころに、試作を重ねたものだと英語版Wikipediaは伝えています。
1階の主階の外壁は石でできていて、2本の太い柱と、骨のような6本の細い柱が窓の前に立ちます。窓の縁は唇のように丸く、開いた口に見えることから「あくびの家」とも呼ばれます。最上部の小さな鉄のバルコニーには、家具を吊り上げるための滑車を支える2本の腕が付いています。
主階は、バトリョ家が暮らした階です。専用の玄関広間から階段を上がると、吹き抜けの青いタイルが見える広い踊り場に出ます。オーク材の扉、ステンドグラスの大きな窓、キノコのような形の暖炉などが見どころで、波のような曲線の天井が続きます。通り側には書斎と食堂があり、暖炉のあるくぼみは、人目を避けて語らうための小さな空間として作られました。
主階の広さは700平方メートルを超えると英語版Wikipediaは書いていますが、旅行ブログでは450平方メートルとする説明もあり、数字が分かれます。ここでは、広大な階であることだけをお伝えします。ガウディが設計した家具のうち、机とベンチがひとつずつ邸内に残り、残りはカタルーニャ美術館が所蔵していると、日本語版Wikipediaは伝えています。
主階への専用の玄関広間には、亀の甲羅を思わせる天窓があります。階段の壁には竜のうろこのような模様があり、凹凸に見えても実は手描きの平らな面だと、旅行ブログは紹介しています。手すりは手になじむ形で、直線がありません。階段の脇の支柱は海藻が巻きついたような形で、いま見られるものは複製だとされます。
食堂の天井には、液体の一滴が落ちたときにできる「ミルククラウン」を逆さにしたような飾りがあると、同じブログは書いています。食堂の奥の扉から出る裏庭は、通りに面した正面とは反対側で、裏のファサードにもトレンカディスの飾りと花の模様があります。表より地味に見えて、うねりはむしろ大胆だという感想も見られます。見学の順路は改装で変わることがあるため、館内の案内に従ってください。
建物の中央にある光の中庭は、青いタイルが上の階ほど濃く、下の階ほど淡くなっています。上の階は光が強く、下の階は光が届きにくいため、タイルの色で明るさをそろえているのです。下から見上げると、ほぼ同じ色に見えるのがおもしろいところです。壁にはひし形の模様が入り、木の雨戸のついた窓は開け閉めして換気できます。
吹き抜けの幅は下ほど広がる設計だと旅行ブログは説明しています。階段との間にある窓には、表面に凹凸のあるガラスが使われ、のぞくと揺らぐ海の中のように見えます。ガウディが、上の階の電灯や換気の問題を、光と空気の流れで解決しようとした場所です。
屋根裏には、60本のカテナリーアーチが並び、動物の肋骨の中にいるような印象を受けます。もとは洗濯室や物置などの作業場で、白い壁と小さな開口が、光と風を取り入れつつ、外の暑さや寒さを和らげたといわれます。
屋上テラスは竜の背に見立てられ、トレンカディスで飾られた煙突が並びます。屋根のタイルは金属のような光沢があり、右側の緑から、中央の青と紫、左側の赤とピンクへと色が移り変わります。屋根の小さな三角の窓は、竜の目にたとえられます。
塔の先の十字は、聖ジョルディの槍とされ、4つの腕が東西南北を向いています。塔には、イエス、マリア、ヨセフを表す3つのモノグラムがタイルで描かれ、ガウディの信仰の深さを物語ります。塔の先の球根のような飾りは、運ばれてくる途中で壊れたものを、ガウディが気に入って、そのまま漆喰と真鍮の輪で取り付けさせたという逸話が伝わります。
ガウディは、光と風を建物の中にうまく取り込むことに力を注ぎました。光の中庭ではタイルの青の濃淡で明るさをそろえ、屋上の4つの煙突は、煙が逆流しないよう工夫された形です。電灯がまだ十分に使えなかった時代に、自然の光で部屋を明るくする解決策を、いくつも考え出しました。
直線をほとんど使わず、自然の形を手本にするのが、ガウディの設計の特徴です。骨、貝、波、竜といったモチーフが、建物の隅々に現れます。
近年は、日本の建築家・隈研吾が手がけたとされる出口の階段や、LEDで囲まれた展示空間など、現代の展示も加わっています。内容は変わることがあるため、見学前に公式サイトで確認してください。
「ガウディ・キューブ」は、壁・天井・床に映像が映る空間で、アーティストのレフィーク・アナドルの作品が上映されると公式は紹介しています。「ガウディ・ドーム」は、映像と音で、ガウディが自然から受けた着想を体験する空間です。どちらもチケットの階層で入れるかどうかが変わる可能性があるため、購入ページで確認してください。
建物の外観は、グラシア通りの歩道から無料で眺められます。向かいの歩道から見上げると、屋根のうろこと塔の十字がよくわかります。隣のカサ・アマトリェールと並べて見ると、同じ時代の建築の違いが比べられます。屋根の高さを、隣の建物より少し高くしつつ、丸みをつけて周りになじませた、という解説もあります。
ステンドグラスの前や光の中庭、屋上の煙突が人気の撮影スポットです。個人用の写真は撮影できますが、三脚は使えません。
同じグラシア通りにあるカサ・ミラ(通称ラ・ペドレラ)は、ミラ夫妻の依頼で1906年に設計が進み、古い建物を取り壊して建てた新築です。ガウディが手がけた最後の民間住宅で、完成は1910年から1912年ごろと、日本語版と英語版で記述が分かれます。
| カサ・バトリョ | カサ・ミラ | |
|---|---|---|
| 成り立ち | 既存建物の改築 | 取り壊した後の新築 |
| 特徴 | 色とりどりのタイルと骨のような外観 | 石を削ったような波打つ外観 |
| 構造 | 既存の躯体を活かした改築 | 自立する石の外壁(耐力壁なし) |
| 見どころ | 光の中庭、竜の背の屋上 | 煙突の立つ屋上、屋根裏の展示 |
| 世界遺産 | 2005年に追加 | 1984年に登録 |
| 所要時間 | 約1時間15分 | 公式サイトで確認 |
カサ・ミラは、中庭が二つあり、外壁の石が建物を支える構造を持つなど、建築としての新しさで知られます。屋上には、レンガに石灰や割れた大理石、ガラスをかぶせた煙突や階段室が並び、彫刻のようです。現在は財団が運営し、見学や展示を行っています。
どちらかひとつなら色彩を楽しむカサ・バトリョ、外観の迫力を楽しむならカサ・ミラ、という選び方が一般的です。同じ通りにあるため、両方見る旅行者も多くいます。
バルコニーが仮面の形で、柱が骨のように見えるためです。「あくびの家」と呼ばれることもあります。
種類によります。ナイトツアーでは屋上は含まれません。購入ページで確認してください。
色彩と内装を楽しむならカサ・バトリョ、外観の曲線と構造の新しさを楽しむならカサ・ミラが選ばれます。
カタルーニャの守護聖人サン・ジョルディの竜退治の伝説にたとえられます。塔の十字が槍とされます。
左隣は、1898年から改築されたカサ・アマトリェールです。通り沿いに並ぶ「不和の街区」の一部です。